2010年9月21日火曜日

木室陽一|まちあるきおどり 中目黒編 Part 2

東京の条件WORKS 2010参加作品

※ブログ「舞踊家 木室陽一 きむろよういち おどるおどる」より転載


ロスト


「まちあるきおどり」中目黒編・初日、夜の回。


お客が1人だったせい。か?

それとも夜は人々が内に閉じるせいからなのか。

呼ばれる感覚が長続きしない。
途切れ。
見失う。

さまよい、
途方にくれつつも、
確かに美しい瞬間はあった。
が、
風はとぎれ、
無関心なぽっかりした空間があくばかり。


はじめから、やり直してみる。
改札の脇の木に、
実はそんな所にヒントがあったりする。

自分を燃やすよりどころが、いかに生まれるのか。


序盤で、改札で人待ちをしていたらしい方が、見ていたお客さんに声をかけた。

ほとんどの人は気づかないか、目にしても気にせず無視してしまう中で、
その初老の男性は、
踊る僕をずっと注視していたらしい。

やがて「東京も捨てたもんじゃないですね」と、
言われたそのお客さんは、泣きそうになったそうです。


執筆:木室陽一
投稿者:印牧