2010年9月27日月曜日

木室陽一|まちあるきおどり 中目黒編 Part 4

東京の条件WORKS 2010参加作品

※ブログ「舞踊家 木室陽一 きむろよういち おどるおどる」より転載


ワンダフル


「まちあるきおどり」中目黒編、2010年9月24日夜の回(4回目)


イスラエルからのお客様2人を交え、総勢6名賑やかな雰囲気。

待ち合わせの改札も、かしまし声で華やぎ浮き立つ空気。
も、いっとき経つと、皆で行ってしまい、
騒々しさの中にもしんとした気配が残る。

その気配をたぐり、
入れ違う人と人の間の、常に誰にも触れない空気の溜まりに、
身体を滑り込ませてみる。

どんなに動いても、人波は乱れない。

その人波とは別の方から吹いてくる風、ひんやり。
つられて外に踏み出してみる。
雨。
は、まだ、ほんのぽつりぽつり。
これなら傘はいらない。

丘を越え、転げ落ち。
地に手をつき、這って進み。
通りに出る。
気付かなかったけれど、この辺りで会社員の男性が観客に加わって観ていたらしい。


飲み屋の店先に寝転ぶ。



いちど投げ出した身体のそばで、なびくのれん。
そこから、次の動きが。
夢中に戯れ。
気付かなかったけれど、この辺りで、通行人が警察と救急車を呼びそうになってたらしい。


のれんに誘われた勢いで、飲み屋の続く通りを行き、
十字路にあたるたびに、新たに問い直す。

気付かなかったけれど、この辺りで、男子学生が自転車でついて来てたらしい。

暗い通りを、探りながら進む。

止まっていた風が、
賑やかな通りが近づくにつれ、大きく吹きつけてくる。
人々の中に分け入って、ゆるやかに、しかし流されて。



流されて、
流されて。

流されて、改札口まで戻ってくる。

なおも後ろに引かれるように、
改札の、
人々が出てきて入ってゆく、
自動検札の狭間に、

立つ。

のみにて。



ついて観てくれていた、男性社員も学生さんも、終演後に声をかけてくれました。

そうして皆さんと別れた後に、
ざっと通った雨が、乾いた地面をぬらしてゆく。
奇跡的っ!


執筆:木室陽一
投稿者:印牧